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■■ 市民権と名前

 前回のメルマガで「ラモス瑠偉」さん、「呂比須ワグナー」さん、「三都
 主アレサンドロ」さんなどの例を挙げて、帰化した場合はカタカナの姓を
 日本風に漢字にしなければならないのか?というお話をしました。現在は
 カタカナの姓でもOKと書かせて頂いたのですが、ではなぜラモスさん達
 はカタカナと漢字の両方を使っているのでしょう?というご質問をたくさ
 ん頂きました。

 これは全く私の勝手な想像なのですが、日本人の名前だと、まずほとんど
 の場合、名字と名前がどこで区切られるのか判断できますよね。「山田太
 郎」と書かれていても無意識のうちに頭の中で名字と名前を分けていると
 思います。

 外国の方の名前をカタカナで書く時は「ルイ・ラモス」のように名前と名
 字を区切るために「・」を入れたりしますよね。けれどこの「・」はもち
 ろん戸籍に使用することは出来ません。

 これが「・」の無い「サントスアレサンドロ」と書かれているとちょっと
 混乱しませんか?
 ですので、外国の方の場合は名字と名前の区別をはっきりさせるためにど
 ちらかを漢字になさったのでは?なんて、勝手に考えているのです…。

 けれどもよくよく考えてみれば、カタカナでもOKとは言ってもそのカタ
 カナでどこまで「ホントの名前」を表せているのか、ですよね。結局は私
 たちの母国語で発音しやすいように表記されるということですものね。

 中国などの場合は、すべて漢字に当てはめる必要がありますし、アメリカ
 では、かつて英語圏以外の移民が大量に入国した際に、入国審査官は彼ら
 の名前の綴りや発音がよく理解できず、その場でわかりやすい名前に変え
 ていってしまったという話も聞きます。綴りがわからない名前は聞こえた
 部分だけ取って短くしたり、似たような発音のアメリカ風の名前に…とい
 う風に。

 同じ漢字圏の国であるためにかえって困った?例もあります。例えば「金
 大中」氏は、ずっと「キン・ダイチュウ氏」だと教えられてきた気がする
 のですが、最近は韓国風に「キム・デジュン氏」と発音されるようになり、
 混乱してしまいます。「毛沢東」氏の読み方を調べてみると「マオツォー
 トン」「マオツェドン」「マオツオトン」「マオツェトゥン」という風に
 微妙に違いましたが、どれも「モウタクトウ」という漢字そのまんま日本
 語読み、とは離れていますよね。

 聞くところによると、韓国では日本と同じように漢字を使っていても、日
 本人の名前を韓国風に発音することはないそうですが、中国の場合は中国
 式の発音をするそうです。だからそれに合わせて日本でも韓国の方は韓国
 の発音に近い「キム・デジュン氏」、中国の方は日本風に「モウ・タクト
 ウ氏」と発音するのでしょうか。

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■■ 水族館で結婚式

 最近「サカナ・サカナ・サカナ〜♪」という例の歌が耳について離れない
 人が多いようですね。実際にスーパーで実験すると、あの曲をかけたとた
 んに鮮魚コーナーの売り上げが急増するそうです…。恐るべし。

 ところで、平成10年5月に大阪の海遊館でとある結婚式が行われました。
 その際の両家のお名前が「田井」さんと「浜地」さん。親族代表はタイと
 ハマチの着ぐるみで盛り上がり、水族館側は水槽にハマチを放ってお祝い
 したそうです。

 そのまんま「鯛」さんというお名前の方もいらっしゃいますが、お魚関係
 では「魚(うお)」さん、「魚屋」と書いて「ととや」さんというかわい
 いお名前の方もいらっしゃいます。

 富山県の新湊市は「魚」「釣」「波」「網」さんなど港町らしいお名前が
 見られる地域です。漁業関係以外でも、「瓦」「壁」「風呂」「桶」さん
 や、「牛」「鹿」「大工」「菊」「音頭」「大工」「旅」など、ものの名
 前がそのまま名字になっている大変珍しい地域でもあります。